「将来は、保育園の先生になりたい!」という女性に、
あなたも一度は会ったことがあるのではないかと思います。
可愛い子どもたちに囲まれ、ピアノを弾いて歌ったり、
お遊戯をしたりと楽しいライフワークを思い描き、
国家資格である保育士の資格取得を目指している方は、現在でも一定数います。
事実、保育士の資格取得志願者は増加傾向にあり、
トップクラスの人気を持つ国家資格です。
しかし、自身も保育園の園長と保育者養成校の教員を務める大川えみる氏は、
自著『ブラック化する保育』において、
国家資格を有しながらも保育所職員として働かない人が約68万人もいることを訴えています。
その理由として、保育所職員の低賃金を第一の要因に挙げています。
年収ラボの報告によると、保育所職員の2017年の平均年収は323万円、
平均月収は22万円とされています。
しかし、求人サイトをみても月額20万円を超える保育所職員の求人は、なかなかみつかりません。
また、保育所職員は、子どもの遊戯の相手をするだけでなく、
園児がけがをしないか危機管理を行う必要があります。
そして、お遊戯会などのイベントの前になると、夜遅くまで準備をしたり、
自宅に帰って、作業をすることもあるようです。
精神的にも肉体的にも、なかなかの重労働であることは容易にわかります。
さらに、保育所不足が懸念される今日の日本において、
数多くの園児を、たった1人の保育所職員で面倒を見なければいけないことは、
我が国の保育所職員不足問題における大きな課題です。
年長さんの園児になると、たくさん動き回るようになると、
注意深く危機管理をしなければならない状況にもなり、
イギリスやドイツであれば、4歳時から5歳児を見守る保育所職員の場合、
保育所職員1人がみる園児は13人以下であるのに対し、
日本では、保育所職員1人で約30人の園児をみなければいけないのが現状です。
また、休日が少なく、有休休暇の取得困難であることや、
保護者間とのトラブルが多いことも、
保育所職員として働く人の少ない原因であると言われています。
2014年3月、産業競争力会議雇用・人材分科会において、
政府は准保育士という新しい資格の設立を提案しました。
准保育士は国家資格である保育士と異なり、
子育ての経験さえあれば取得しやすくなる民間資格です。
この資格が制度化されれば、主婦の雇用機会増加と
保育所職員の増加を同時に叶えることができます。
しかし、2017年現在も制度は実現していません。
原因としては、国家資格を持つ保育所職員の給料改善の直接的な解決にはなっていないことと、
国家資格を持たない職員の増加により、保育所職員が危機管理に疎くなることで、
結果的に、保育サービスの質の低下に繋がるのではという懸念があるためです。
いずれにせよ、保育所職員不足とその労働環境は、
現在もなお、未解決の問題となっています。
