高齢者の方の認知症ケアを行ううえで、まず必要なことは、
認知症に対する正しい知識を身につけることです。
もし、あなたの身内の方の介護を行っている人もいれば、
仕事として介護を行っている人もいるかと思いますが、
どちらにも共通して言えることは、正しい知識を持つと言うことです。
認知症と一言で言っても、その症状や進行速度、
身の回りに及ぼす影響の大きさなどは、人それぞれです。
一部のケースを除いて、認知症は、基本的に完治することはないと言われていて、
進行し続ける病気であり、その人の性格や判断能力なども奪ってしまう病気です。
認知症ケアを行ううえで、やってはいけないことは、
認知症を患っている方の意思や言動に対して、『否定』を行う事と、
『適当にあしらう』事が挙げられます。
認知症の症状別に見ていくと、徘徊で歩き回っている方に対して、
「座ってください。」と言うことや、食事が認識できずに、遊んでしまう方に対して
「遊ばずに食べてください」と言ったり「何をしてるの!」と叱咤してしまうことや、
昼夜逆転傾向があり、夜中に大きな声を出してしまう人に、
「夜だから静かにしましょう。」や「夜だから寝てください。」と言うことです。
介護をする側は、ごく当たり前のことを言っているだけなのですが、
理屈で解決しようとすると、介護する側の気持ちを押し付けてしまうことになるからです。
認知症の方と一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、
このような、やってはいけない行動は、出やすいとされていて、
このやってはいけない行動の積み重ねから、本人の認知症の症状が著しく進行してしまうことや、
介護者による虐待などに繋がってしまうこともあります。
やっていることを否定され続ければ、
行動しようという気持ちや意識が低下することに繋がります。
叱咤され続けると、「何もしないほうがいいのかな?」
「私なんか居ないほうがいいのかな?」と気持ちが塞ぎこんでしまったり、
鬱傾向に陥ってしまうこともあります。
認知症を患っている方は、誰しも、認知症になりたくてなることはありませんし、
その症状で迷惑を掛けたくて掛けている方もいません。
自我をとどめられずに、大きな声を出してしまったり、徘徊してしまう人もいますが、
全ては、認知症という病気の影響であることを、まずは念頭に置き、
正しい知識と、正しい接し方で、本人に対して安心感を与えることが何よりも先決となります。
認知症を患っている方の気持ちに寄り添った認知症ケアが浸透し、
認知症の方でも、安心快適に過ごせる社会へと、もっと近づいていけることが、
これからの社会の理想だと言えるでしょう。

